5-2

大ストゥーパを囲む四方の門には、ブッダの生涯や前世の物語が彫られている。卓越した技巧・タッチは、11世紀、ヨーロッパで栄えたロマネスク美術を髣髴とさせる。ロマネスク建築(聖堂のタンパン等)にほどこされた彫刻は、イエスや聖人の物語。両者には、ブッダとイエスという違いはあるが、文字の読めない人々に信仰を説くという目的・着想は酷似している。
もちろん、サーンチーとロマネスク美術とは、1000年以上の時代の開きがある。だが、11世紀のヨーロッパ人がインドの彫刻を見なかったとはいえない。
ロマネスク美術とサーンチーの仏教美術との関係(影響)について触れた書物は、管見の限りでは見当たらない。また、人間は、空間・時間を越えて、無意識的に同じような表現手法を用いたり、類似したストーリーの神話をもつことがある。だが・・・

 

サーンチーに仏教美術が花開いたのは、BC2〜1世紀のこと。この時代、ブッダを表す、いわゆる仏像の制作は始まっていない。この時代、ブッダは菩提樹で表された。


back
top
next