だから、次のように換言しておかねばなるまい―。
アイリッシュケルトの歴史は栄光にではなく、敗退、離散に包まれたそれだと。
また、21世紀、国民国家の枠組みを越えて人間を支え合う想像力は
、覇権や支配の欲望をむき出しにした放歌高吟からではなく、
悲惨や忍従を経験した者たちがうたう哀歌によってはぐくまれるのだと。
いまも私の耳元に、古城で聞こえたアイリッシュケルトの歌声が、
風の音のようにとどまっている。

アデア近郊/2000.7.18

ロックオブキャシェル/2000.7.20